客観性を持つ大切さ
予期不安がやってきた時、自分が「どのように考えたのか」、そして「その考えがどれぐらい現実的でないか」を自覚することは、予期不安を克服する上でとても重要です。
「今起きている事実」を客観的に把握することで、不安になる理由を一つ一つ潰していくことができるからです。
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ところが、予期不安で頭がいっぱいになってしまうと、「今何を考えているのか」を把握するのでさえ案外難しく感じるもの。
また、うまくその時の考えを把握できたとして、一度や二度でその思考がガラリと変わるわけでもありません。
やはりここでも「何度も繰り返すこと」が大切になってきます。
自動思考日記を習慣にしよう
不安を感じるたびにそれを文章に起こしてみましょう。それが、自分の思考を把握する練習にうってつけです。
その時の「状況」を書き出そう
まずは、いつどんな時に不安や恐怖を感じたのかを書き出してみましょう。
(例)駅のホームに立ったら、急にドキドキしてきて不安になってきた。
その時「何を考えたのか」を書き出そう
次に、その時何を考えたのかを丁寧に思い起こしていきましょう。
(例)
- パニック発作を起こしてしまうかもしれない。
- 電車に乗り込んだら途中で降りられないから、きっと大変なことになる。
- 変な事をして、みんなが私に注目するだろう。
考えを「事実」に照らし合わせよう
さきほど書き出した考えを一つ一つ事実と照らし合わせて、書き出していきましょう。
(例)
- パニック発作は呼吸法や漸進的筋弛緩法で抑えることができる。
- 例えパニック発作が起きたところで、何か大変な事態になるわけではない。
- 不安や恐怖を感じたところで、実際に死ぬような危険な状況になるわけではない。
- これまでもなんだかんだで乗り切ってこれた。
- みんなが自分に注目しているわけではない。
「対策」を考えよう
事実に基づいて、その時自分が「何をやればいいのか」を考え、書き出してみましょう。
(例)
- まずは、パニック発作を抑えるために呼吸法か筋弛緩法をやろう。
- 「不安や恐怖を感じたところで何か大変な事態になるわけじゃない」というのを、すぐに思い起こそう。
- 他人の目を気にしてもしょうがないから、気にしないようにしよう。
- 呼吸法や筋弛緩法の練習だと思って、実践に集中しよう。
- この思考の書き換え作業もまた認知行動療法の一つだから、今はこれに集中しよう。
この一連の流れを表にしてみると、視覚的にも理解しやすいでしょう。
このようなフォーマットで日記をつけるのは、とてもオススメです。
状況 | 駅のホームに立ったら、急にドキドキしてきて不安になってきた。 |
---|---|
思考 |
|
事実 |
|
対策 |
|
繰り返すと切り替えが早くなる
このようにして、「極端な思考」を「客観的な事実」をもとに置き換えるという作業を習慣にしてみましょう。
これを何度も繰り返すうちに、切り替えが少しずつスムーズになってくるのを感じられるかと思います。
スムーズになるというのはつまり、「1」の状況になった時点で「2」と「3」を意識することなく、すぐさま「4」の対策が実行できるようになることを想像していただけると分かりやすいかもしれません。
予期不安を感じたときに「自分のやるべきこと」がはっきりしているだけで、ずいぶん気持ちが軽くなるはずです。
そして、「やるべきことをやると不安な状況も乗り越えられる」のが体感として積み重なってくると、不安感や恐怖感が根本から無くなってくるでしょう。
自分の思考を把握するというのは思いのほか大切な工程なんです。
「不安なものは不安/怖いものは怖いのだからしょうがない」というふうにすべてを片付けてしまっては、自分の思考に気づくチャンスを失ってしまいます。
また、真面目でがんばり屋さんほど自分の思考を無視して他人に合わせた行動をとってしまいがちですから、「無理をしない」習慣を身につけていくためにも、自分の考えをすくい上げてあげることは大切なんだと思いますよ。
自動思考日記をつける習慣をつけて、予期不安の傾向と対策を身につけていきましょう。