パニック障害の治し方

自動思考とスキーマ(信念)

自動思考

 

「出来事」と「思考」と「行動」の関係

何か出来事があったときに、瞬間的・自動的にわき起こる考えのことを「自動思考」と言います。

例えば休日の朝、カーテンを開けたら雲ひとつない晴天だったとしましょう。

このとき「いい天気! お散歩でもしたら気持ちよさそう!」と思う人がいる一方で、「うわ、暑くなりそうだなあ。こんな日は外出したくないなあ」と思う人もいますよね。これが「晴天」という出来事に対して、それぞれにわき起こった自動思考です。

お天気の自動思考

自動思考がわき起こった後には、その思考に伴って「行動」を起こします。

前者の人なら、サンドイッチを用意してピクニックに出かけたりするかもしれませんし、後者の人なら、外出を避けて自宅でお菓子を作ったり映画を見たりするかもしれません。

つまり、「出来事」に対しては必ず「自動思考」がわき起こり、「行動」を起こすときには「自動思考」の影響を少なからず受けるということが言えます。

認知モデル

認知行動療法ではこの関係性を前提として、中でもとりわけ「自動思考」に注目してアプローチをしていきます。

パニック障害のときの自動思考

パニック障害・不安障害のときの予期不安を、前項のチャートに当てはめて考えてみましょう。

出来事

(電車のホームにて)

乗るつもりの電車がホームに入ってきた

コチラ

自動思考

「また発作を起こしてしまうかも…」

「体調が悪くなって倒れちゃうかも…」

コチラ

行動

電車に乗るのをやめて駅を出る

もちろんこれは一例ですが、予期不安を抱えているときには実際にこのような流れになりがちなのではないでしょうか。

苦手なシチュエーションに直面したとき、予期不安が波のように押し寄せてきて、慌ててその場を離れるような経験をされた方は少なくないと思います。

このときの予期不安が、つまり自動思考です。

「電車が来た」という出来事に対して「また発作を起こしてしまうかも…」という予期不安(=自動思考)がわき起こり、そのことによって「電車に乗らずに引き返す」という行動をとったわけです。

 

一方、パニック障害・不安障害でない人が同じ出来事に直面したら、どのような自動思考を抱くのでしょう。

出来事

(電車のホームにて)

乗るつもりの電車がホームに入ってきた

コチラ

自動思考

「座席空いてるかなー」

「エアコン効いてるかなー」

コチラ

行動

電車に乗り込む

こんなところでしょうか。きっと特にたいした感想を浮かべることもなく、平然と電車に乗り込むことでしょう。

ではなぜ、こういった違いが生まれるのでしょうか。

自動思考を生み出すスキーマ(信念)

自動思考を生み出す「根っこの考え方」を、専門用語で「スキーマ(信念)」と言います。

自動思考はスキーマから生まれます

最初に挙げた「晴天」の例で言うと、晴天を見て「お散歩日和だな!」と感じた前者の人は、おそらくこのようなスキーマを持っていると思われます。

前者の人のスキーマ(信念)
  • 「晴天の日は気楽に出かけやすい」
  • 「お出かけするとストレスが晴れる」
  • 「散歩は健康にも良い」 など

一方で「暑くなりそうだなあ」となんとなくネガティブな印象を抱いた後者の人は、このようなスキーマを持っているのかもしれません。

後者の人のスキーマ(信念)
  • 「暑い日に外出したら体調を崩すことが多い」
  • 「美容に悪いから、日焼けしたくない」
  • 「外出をすると必ず疲れる」 など

ここに挙げたのはあくまで例ですが、ともあれ人はそれぞれ持っているスキーマが異なるために、とっさにわき起こる自動思考にも違いが出てくるのです。

 

では、パニック障害・不安障害の予期不安は、どのようなスキーマが元になっているのかを考えてみましょう。

例えば「また発作を起こしてしまうかもしれない…(起こしたらどうしよう)」という自動思考。ここにはおそらくこのようなスキーマが働いていると考えられます。

予期不安の元になるスキーマ(信念)
  • 以前同じ場所で発作を起こしたから、また起こすだろう
  • 発作を起こすことは、みっともないことだ
  • 発作を起こしたら、大変な事態になる
  • 発作は自分ではどうにもできない など

このような考え方が元になって、「発作を起こすかも…起こしたらどうしよう…」という不安感(自動思考)がわき起こってくることになります。

これらのスキーマを持つようになったきっかけは、もちろんパニック発作を経験したことが大きいでしょう。発作によってそれまでに味わったことのない強い恐怖を感じたのだとしたら、こんなスキーマが生まれても仕方のないことです。

でも客観的に眺めてみたとき、これらのスキーマは本当に正しいと言えるのでしょうか。

ハテナ

  • 本当に「また発作を起こす」のでしょうか。
  • 本当に「発作を起こすことは、みっともない」のでしょうか。
  • 本当に「発作を起こしたら、大変な事態になる」のでしょうか。
  • 本当に「発作は自分ではどうにもできない」のでしょうか。

以前、パニック障害は「脳の勘違い」だという話をしました。

参考リラクゼーション訓練

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まさにこれらのスキーマもまた、脳の勘違いの一部なのです。ですから、どんどん「待った!」をかけて修正していかなくてはいけません。

その「待った!」の方法の一つが「エクスポージャー」です。

エクスポージャーを実践していく中で、実際には「また発作を起こす」わけでもなく、 「発作を起こすことはみっともない」わけでもなく、「発作を起こしたら大変な事態になる」わけでもなく、「発作は自分ではどうにもできない」わけでもないことを体感していきます。

そして、予期不安の元になるスキーマを修正していくのです。

参考エクスポージャー(曝露療法)

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「自動思考とスキーマ」の概念を意識すると、エクスポージャーを実践する意味合いがより分かりやすくなるのじゃないかと思います。

予期不安が出てきたときには、どのような自動思考が生まれているのか、そしてその根っこにどのようなスキーマが隠れているのかを考えてみてください。

勘違いのスキーマには、どんどん「待った!」をかけていきましょう。

ネガティブ思考に待った
参考ネガティブ思考に「待った!」をかける

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管理人まーる

パニック障害を克服した元商業ライター現医療機器系OL | 上級心理カウンセラー(民間)| 80年代生まれ | 旅行大好き | 乗り物・フルタイムのお仕事OKすこぶる元気 | 服薬・通院はしなかったためお薬には疎い

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