目標設定のコツ
「エクスポージャー」は、段階的に目標を立てて実践しなければいけません。
初めから高い目標を立てると、うまくいかずにパニック発作を起こしてしまうかもしれません。コツコツ成功体験を重ねて自信をつけていくこともまた認知行動療法の目的の一つなので、無理して失敗しては元も子もありません。
「これなら何とかこなせるだろう」と思えるような小さなことから、10段階ぐらいに分けて目標を立てるのがポイントです。
まずは、大きなゴールをいくつか設定しましょう。「最終的にこれができるようになりたい」というようなものです。
例えば、こういう感じ。
- 特急電車にも不自由なく乗れるようになりたい
- 飛行機に乗って旅行がしたい
- フルタイムで仕事ができるようになりたい
「とにかく元気になりたい」などといった大まかな内容は、実行しづらいので目標には適しません。
例に挙げたように、より具体的な内容を思い描くようにしましょう。
いくつかゴールが思い描けたら、それぞれに対して「不安階層表」を作っていきます。
「不安階層表」を作成する
「不安階層表」もまた、認知行動療法でよく取り入れられるツールです。
実際に不安や恐怖を感じるシチュエーションを具体的に10個挙げ、それが自分にとってどのぐらい不安・怖いのかを数値化して並べるのです。
試しに「特急電車にも不自由なく乗れるようになりたい」というゴールに対して、不安階層表を作ってみます。
不安に感じること | 不安レベル |
---|---|
人が多い時間帯の特急電車に乗る | 100 |
特急電車に30分乗る | 90 |
特急電車に15分乗る | 80 |
急行電車に30分乗る | 70 |
急行電車に15分乗る | 60 |
人が多い時間帯の普通電車に30分乗る | 50 |
普通電車に30分乗る | 40 |
普通電車に15分乗る | 30 |
普通電車に乗って3つ隣の駅で降りる | 20 |
普通電車に乗って1つ隣の駅で降りる | 10 |
不安レベルが高いものほど、より不安や恐怖を感じるという意味です。
不安レベル「100」を克服できれば、最初に設定した「特急電車にも不自由なく乗れるようになりたい」というゴールに到達できるだろうと思い、このような不安階層表を作成してみました。
もちろん不安・恐怖を感じるシチュエーションは人によって異なりますから、同じゴールでも人によって階層表の内容は異なるでしょう。
自分の不安レベルに沿って、細かく具体的に段階分けしてください。
不安階層表が作成できたら、不安レベルが一番低い「10」の段階からエクスポージャーを実践していきます。
レベル「10」を何度か繰り返して自信がついてきたら、レベル「20」の段階へと進みます。
「20」で自信がついてきたら「30」へ、その後も同じように「40」「50」と進めていきます。
こうして段階的にエクスポージャーを実践していくことで、無理しすぎることなくゴールに到達することができるというわけです。
やる気の出るゴール設定をしよう
「早く働かないと」とか「また車に乗れるようにならなきゃ」というような必要に迫られて、ゴールを思い浮かべる方は少なくないでしょう。
でもそういう視点ばかりだと、ゴールに到達したときに感動や喜びがあまり感じられないということもありえます。
ですからぜひ、やる気が出たり嬉しくなったりするようなゴールを混ぜてみてください。
例えば「家族で沖縄旅行をする」とか「片道30分の百貨店で大好きなスイーツを買う」とか。
自分がウキウキするようなゴールを設定すると、不安階層表もスラスラと作成できるかもしれませんね。
そして段階をステップアップするごとに喜びがいっそう実感できて、モチベーションアップにも繋がるでしょう。
モチベーションの維持は大事ですよ。認知行動療法は続けることに意義がありますから。
ストイックになりすぎる必要はないのです。楽しんだっていいんです。
ぜひ希望を持って続けられるよう、工夫してみてください。
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参考エクスポージャー(曝露療法)
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