認知行動療法

不安が出たらアウト・出なかったらセーフという賭け

OutOrSafe

こんにちは、まーるです。

(音声版はこちら↓)

不安や恐怖は「感情」なので、勝手に沸き起こってきます。決して自分ではコントロールできません
「不安を感じないようにしよう!」と決めても不安になるものはなるし、「怖くない怖くない!」と何度言い聞かせても怖いものは怖い。
なので「不安や恐怖を感じないように頑張ろう!」っていうのは、そもそもちょっと変なんですよね。人間の仕組みに反しちゃってる。
同じく「不安や恐怖が出てきちゃったから、はい私ダメー」っていうのも変。全然ダメじゃない。普通だから。というかそういう疾患だから。不意に不安や恐怖が出てくるのは、むしろ当たり前とすら言えるのであって。

前は大丈夫だったのに今日はダメだ、予期不安出てきちゃった。
なんて事も、治療中は本当によくある事だと思います。
心なんてお天気で変わるとアン・ルイスも言ってます(from 六本木心中)。ほんとそう。
予期不安なんて体調やホルモンの関係で、簡単に出たり出なかったりするもんです。
打率みたいなもんです。打てる日もあれば打てない日もある。でも打数を考えたら上出来だよ、っていうね。

考えてみれば、「曝露(ばくろ)療法」自体も打率っぽいところありますよね。打数を増やして安打を上げていく感じ。

「曝露療法」は、認知行動療法で行われる治療法の一つで、主に予期不安の回復に有効とされています。
その名のとおり、不安や恐怖にさらされる事を積極的に行っていくもので、頭を渦巻くネガティブな想像が実際にはほとんど起こらない事を体験を通じて認知していきます。

参考エクスポージャー(曝露療法)

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苦手なシチュエーションにチャレンジして(=打数)、「できたぞ!」という経験(=安打)を少しずつ積み重ねていく。そうすれば打率が少しずつ上がっていくと。
成功体験を重ねて自信を高める事が不安障害・パニック障害回復の要なので、この打数を増やして安打を重ねていくプロセスは本当に大事です。

安打を打つためには、バットを振らないといけません。見送り三振では安打は生まれません。
つまり何かしらの「実感」が必要なんですね。
「呼吸法をやったから発作を起こさずにすんだぞ」とか「呼吸法はあんまりうまくいかなかったけど、それでも時間とともに予期不安は収まったぞ」とか。

あ、その前にまず、打つべきボールが飛んでこなきゃいけませんよね。
不安や恐怖という名のボールが飛んでこなかったら、打ち返す練習はできないわけで。

なのでですね、「不安や恐怖を感じたらアウトー」あるいは「感じなければセーフ」というのも、やっぱりちょっと変なんですよね。
ボールが飛んでこなかったらオッケーっていう発想なので。それじゃいつまでたっても安打は打てないし打率も上がりませんから。

と、これまで散々野球に喩えてきてアレですが、曝露療法の「効果」に関しては野球と根本的に違います。
それはですね、野球だと打率が上ろうが何しようが試合のたびにボールは飛んできますが、曝露療法においては打率が上がってくるにつれ、ボールの球威が弱まる&やがてボールがむやみに飛んでこなくなるんですよね。

自信が高まるにつれて予期不安は薄れ、やがてむやみやたらに不安や恐怖を感じることはなくなってきます。
それが曝露療法の目指すところ。

ともあれ。
不安も恐怖も、それ自体なかなか不快な感情だけど、出たらアウト・出なかったらセーフっていうサイコロ賭博みたいに捉えていると、相当に分の悪い賭けになりますぜ。しかも回復のプロセスとは全然関係のない賭けでもありますしね。
そんな賭けは降りるに限ります。

管理人がクリニックの先生にオススメしてもらった本。パニック障害の基礎情報と治し方を知るのに最適です。

管理人まーる

パニック障害を克服した元商業ライター現医療機器系OL | 上級心理カウンセラー(民間)| 80年代生まれ | 旅行大好き | 乗り物・フルタイムのお仕事OKすこぶる元気 | 服薬・通院はしなかったためお薬には疎い

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