落ち込みから抜け出すために、今できる事 – 選択理論入門①

こんにちは、あろはー。管理人まー、です。
以前、選択理論に出会って長年の怒りや悲しみを手放せた、という話をアップしました。(こちらの記事)
その時読んだ本がこれ。目からウロコ、ポンと膝打ち、の一冊でした。

で、このたびもう一つ選択理論の本を読みまして。

いやはや非常に分かりやすい。グラッサー博士のロジックを、絶妙の塩梅で噛み砕いてくれています。夢中で読了。
というわけで今回は、選択理論における「行動のコントロール」について、本の内容を引用しながらまとめてみようと思います。続けて「落ち込みから抜け出す方法」にも話を広げてみますね。ではでは早速。
自分でコントロールできるのは「行為」と「思考」だけ
私たちの行動には、4つの要素があります。それは「行為」「思考」「感情」「生理反応」。
①行為=動作や表情
(例)走る、笑う、にらむ、怒鳴る、踊る。
②思考=頭の中で考えること
(例)嫌なことを思い出す、将来を思い描く、妄想する。
③感情=気分、気持ち
(例)ワクワク、イライラ、がっかり、しょんぼり、うんざり、怒り、憂うつ感、達成感。
④生理反応=身体の反応、コンディション
(例)喉が乾く、汗が出る、血圧が上がる、動悸、頭痛、食欲不振。
この4つは互いに影響し合い、必ず連動して起こります。(選択理論では「全行動」と言う)
例えば、頭が痛い時。
頭が痛いという〈生理反応〉が目立っているので他の要素に気づきにくいのだけれど、実際にはやはり連動しています。痛くて憂うつ〈感情〉だったり、こめかみをさすってみたり〈行為〉、「風邪かな?気圧の変化かな?」と〈思考〉したり。
例えば、サッカーをする時。
ボールを蹴ったり追いかけたりという〈行為〉ばかりではありませんよね。同時に「絶対に勝つぞ」と〈思考〉したり、ワクワク高揚〈感情〉したり、汗をかいたり〈生理反応〉もするはずです。
さて、ここからが本題。
このように私たちの行動は4つの要素を伴っているけれど、これら4つをすべて自分でコントロールできるわけではありません。自らコントロールできるのはこのうち2つ。それは「行為」と「思考」です。
「今、息を吐いて」と言われたら、すぐその通りにできますよね。〈行為〉
「今、行きたいところはどこ?」と聞かれたら、すぐに想像できますね。〈思考〉
だけど「今から腹痛になって」と言われたところで、すぐにお腹を痛くする事はできません。〈生理反応〉
「さあ、イライラして」と言われても、やっぱりムリです〈感情〉
もし、イライラできたよ!という人がおられたとしたら、きっと嫌いな人の顔を思い浮かべたり〈思考〉、タバコを吸うのを我慢したり〈行為〉など、自分でコントロールできる2つの要素を咄嗟に駆使されたのじゃないでしょうか。
そう。私たちがコントロールできるのは、あくまでも「行為」と「思考」だけ。「感情」と「生理反応」を直接動かす事はできません。ただし4つの要素は連動しています。だから、行為と思考によって「生理反応」と「感情」に影響を与える事ができるんです。
この関係性を、グラッサー博士は車に例えて解説しています。

前輪が「行為」と「思考」。後輪が「生理反応」と「感情」。つまり前輪を動かせば、その方向に後輪もついてくるというわけです。
心の身体のしくみ、面白いですね。これまで経験則でなんとなく分かっていたつもりだったけれど、こうして体系的に眺めてみると、理解がグッと深まります。
「好きで落ち込んでいるわけじゃない」というのは本当か
では。これを踏まえて、落ち込みから抜け出す方法ついて考えてみますね。
例えば、同僚や家族に嫌な事を言われて落ち込んでいるとします。きっと4つの要素はこんな風に連動しているでしょう。
〈思考〉なんで私の事分かってくれないんだ。ひどい。
〈感情〉イライラ、しょんぼり、憂うつ感。
〈生理反応〉涙が出る、やる気が出ない、だるい。
〈行為〉部屋に閉じこもる、誰かに愚痴を言う。
この状態が長引くと、生理反応や感情はさらに積み重なって、ますます落ち込んでいく事になりますね。食欲不振になったり、眠れなくなったり、頭痛や腹痛が出たりするかもしれません。
そんな時、「いつまでも落ち込んでないで元気出しなよ」「パーッと気晴らしして忘れちゃえ」なんて言われたところで、ねえ。「だって憂うつでやる気が出ないんだもん、しょうがないじゃん」と、つい思ってしまいますよね。
でも、思い出してほしいのです。さっきの車の例え。
落ち込んでいる時には、憂うつな気分〈思考〉や身体のだるさ〈生理反応〉ばかりに気を取られて自分ではどうにもできないと思いがちだけど、そんな最中でも自分でコントロールできる部分はあるんです。そう、車の前輪「思考」と「行為」。
思考のハンドルを切ってみてください。
「あの言葉は私のためを思って言ってくれたのかもしれない」「別にみんなに分かってもらえなくてもいいや」
行為のハンドルも切りましょう。
ジョギングしてみるとか、部屋の片付けをしてみるとか、ケーキを焼いてみるとか、瞑想してみるとか。
タイムラグはあるかもしれないけれど、ハンドルを切ってしばらくすると、さっきと違う感情や生理反応が生まれてくるはずです。そうやって思考と行為をコントロールして、元気回復ロードに方向転換していけばいいんです。
そんな簡単にはいかないよ。だって思考なんてすぐに切り替えられるものじゃないもの。
と思うのは、ごもっとも。分かります。でもそれって「相手を変えたい」という強い思いに囚われているからかもしれません。
選択理論には、大前提としてこういう考え方があります。「相手を変える事はできない。変えられるのは自分だけ」
いくら落ち込んで、イライラしたり、泣いたり、無視したりしてみても、それ自体では相手の気持ちや行動を変える事はできません。
だからまず「相手を変えたい」という思いを捨てる。結局はこれが、落ち込みから抜け出すためのポイントなんだろうと思います。
しかしこの「相手を変えたい」という想い、けっこう根が深いんですよね。無意識のうちに、あらゆる行動原理の元になっていたりします。
というわけで次回は「相手を変えようとすると、どうなるのか」をテーマに選択理論を語ってみようと思います。また長くなっちゃいそう。お付き合いいただけるとうれしいです。(おわり)
ここに記載の治療法や対処法は、あくまで個人的見解に基づいています。
効果の有無や程度は保証できませんので、ふーん、そういう事もあるんだねー、ぐらいの感じでご理解いただけると幸いです。
ブログ管理人の自己紹介とパニック障害の経緯などは、コチラより。
→「ごあいさつ」

← ポチッと押していただけると励みになります!